思わず小さく声が出てしまったけれど。

13と書かれた席は、俺が一番望んでいた席で。
窓際の一番後ろ…

「蓮ちゃん、どこ?」


佐々木が後ろから飛びついてきても気にならなかった。いつもなら一発叩いていたところだ。

「いいじゃーん!なんだくじ運強いじゃん」

俺の手から奪った紙をまじまじと眺めて、ニカッと白い歯を見せて笑う。

「あ、優花ちゃんたちはー?」

佐々木が松川とさとりに声をかけて、瞬時にいなくなった。落ち着きがないというか、動きがすばしっこいというか。松川が猿だと佐々木の事を言う意味がよく分かる。


「えー、俺だけ遠いとか…ガックリ」

そんな佐々木の声が聞こえて、三人の所へ行った。

「蓮ちゃん、よかったじゃん!隣、小田切さんだって」

「は…?」

嘘だろ。

「嫌だった…?」

さとりは眉を寄せて、悲しそうに視線を落とした。

「いや、嫌なわけないだろ。ビックリしただけ」

「さとりの前が、あたしなの!すごいでしょ?」

そういうことか。佐々木が騒ぐ理由は。

俺は彼女と席が隣じゃなくても構わない。
心配なのは、さとりが授業に集中できるかだ。




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