「蓮ぴょーーーん」
月曜日。二日間休んだ分のノートを取るために、いつもより早く登校した。
本調子ではないけれど、熱も下がって。
飛びついてきた佐々木は完全に無視をすることに決めた。
「感動の再会なのに、何でシカトするんだよー!ね、蓮ぴょんぴょん」
「………」
だいたいいつ俺が"蓮ぴょん"だなんて呼んでいいって言ったんだよ。
「健ちゃん泣いちゃう…」
俺は黙々と松川に借りたノートを見ながら、シャーペンを走らせる。
「れーんーぴょーんー」
「うるせぇよ」
どうやら佐々木に黙るという概念がないらしい。堪忍袋の緒が切れた俺は、一喝して。
「俺寂しかったんだからね?!」
「あーそうかよ。悪かったな」
「じゃ、今日学食で何か奢って」
「駄目だよ童貞猿!今日はうちらとご飯食べるって話なんだから」
佐々木の頭が松川の丸めたノートで叩かれた。
大会が終わって一段落したらしく、久しぶりに昼飯を食おうという話になっていて。
「えー何それ!初耳!もしかして俺ハブ?」
「あんたは誘わなくてもどうせついてくるでしょ?」
さとりはまだ登校していない。
松川に聞いた話によると、大会が終わってから様子がおかしいみたいだ。
何か、あったのか…
「あ、さとり!おはよ!」
松川のその声にはっと我に返って、教室に入ってきたさとりを見た。
「おはよう」
いつも通りの笑顔を浮かべて席へ着く彼女。
前の席にいる江森と楽しそうに会話を始めた。
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