「も、もももう少しだけ…一緒にい、いたいな…」

そう言った後に、全身の血液が顔に集まってきたように、かあーっと熱くなった。

結城くんは、クスッと小さく笑って。

「なんだ、そう思ってたの俺だけだと思ってた」

私は弾かれたように顔を上げると、目眩がしそうな位、綺麗な彼の瞳と目が合った。

「ほ、本当に?」

「あぁ…本当に」

私は嬉しくて、思わず彼に抱きついた。

結城くんは何も言わず頭を撫でてくれる。


「あら、やだ。さとり?」

夢のような時間は一瞬にして崩れ去った。

「お、おおお母さん?!」


「先生も、こんばんは。そんな所でイチャつかないでよー?若いっていいわねぇ。パパが恋しいわ」

お母さんは買い物帰りなのか、パンパンになったレジ袋を持っていて。ははは、と笑いながら中へと入って行った。


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