「ありがとう」

「おう」

それからラーメンを二人で食べて、ゲームセンターで対戦して、彼の意外な一面を見たりした。


「結城くんにも弱点あったんだね」

「いや、次は絶対負けねぇから」

カーレースのゲームを五回もやったのに、結城くんは全て最下位で終わったのだ。
コースから外れたり、逆走したり、いつも冷静な彼がテンパっている姿はすごく面白くて。

私は隣で涙が出るほど笑った。

「ダメだよ、結城くんめちゃくちゃ下手だもん」

「そう言われると余計負けられねぇじゃん」

外へ出ると一段と寒くなっていて、頬を刺すように風が冷たかった。
どちらともなく自然に繋がれた手が、とても温かくて。冬は寒くて嫌いだけれど、結城くんと一緒なら悪くないな、なんて思ったりした。

「あ、観覧車乗りたい!」


ちょうど視線の先に、大きな観覧車があって。
水族館に着いた時から一緒に乗れたらいいなぁって、考えていたんだ。

「乗るか」

「うん!」


観覧車に向かって歩き出す。
長距離マラソンの後みたいに、鼓動がドクドクと大きな音を立てていて。

ゆっくりゆっくり上へと上がっていくゴンドラを見つめて、色々な妄想が頭を支配した。


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