「あー!結城くん!」

「三組の小田切さんと付き合ってるって本当なの?」

「えー?!嘘でしょ?」

「てか誰そいつ?」


俺が入った瞬間、わっと女子に囲まれた。
口々に色々な質問を投げかけてくるけれど。
俺は無言でかわして席へとついた。

「ねぇー何か言ってよ」

「そうだよ!あたし達どうしたらいいの?」


キャーキャー騒がれて耳が痛い。
後からやってきた佐々木が一生懸命宥めようとしてくれているけれど。

「うるせーよ」

「お前に聞いてないし」

「てか邪魔!」

女子からのブーイングに肩を竦めて帰ってきた。

「悪りぃな」

「いや、大丈夫。慣れてるぜ」

佐々木はニカッと白い歯を見せて笑った。

「出欠とったら抜けるか」

「お主も悪ですなー」

今日は始業式と学年集会で終わりだ。
全校生徒が集まる空間になんて行きたくない。
息がつまりそうだ。

「結城くんー」

「駄目だ、ずっとシカト~」

予鈴が鳴ってやっと諦めたのか、女子達は散っていく。

いつまでこんな日が続くのか、考えただけで吐き気がする。

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