「うん、来たよ?」


相変わらず理解していない私は、小首を傾げながらバッグを机の横にかけた。


「昨日相原からメール返ってこない〜って電話来て、慰めるの大変だったんだよ〜?」


「ぎくっ」


そこに優花がやってくる。
痛みのない黒髪が、夏なのに爽やかに舞う。


「どうしたの?」


「もう優花ちゃん聞いてよ〜!さとちゃん相原にメール返してないんだよ?」


なっちゃんが優花に泣きまねをしながら抱きついた。

優花は口をぱくぱくさせて、『な・ん・で?』と訴える。


「いや、あのね。返そうと思ってたら寝ちゃったんだ…」


あはは…と苦笑いする私に、なっちゃんも優花もキョトンとした。


「なあんだ。私さとちゃんに無理に勧めちゃったんじゃないかって反省してたのに」


「まぁさとりらしいわ」



「ごめんごめん」



それから明日から始まる夏休みの話題で盛り上がり、いつも通りの時間を過ごした。


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