「別に。ただ困ってそうだから助けただけ」




冷たい風が一気に吹き荒れたみたいに。


私の胸が、大きく震えて。


えぐれたかのような痛みが走った。




困ってそうだから助けただけ…


何度も頭の中でリピートされる。


そうだよね…。


馬鹿だな…私。


何期待なんかしちゃったんだろ。


私は急いでその場から離れた。

階段を駆け上がり、人と人の間を無理矢理進んでいく。


本当、馬鹿みたい…



少しでも自分に好意を持ってくれているんじゃないかって…


甘い期待をした自分がひどく恥ずかしい。



苦しくて、苦しくて息も出来ない位、苦しくて。



突然足元がぐらんと揺れて、そこでプツンと意識が途切れた。


遠くで“小田切さん!?”と私の名前を呼ぶ声が聞こえたけれど…



聞き覚えがあるような、ないような…。


もう、どうでもいいや…――



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