「さとり、本当にありがとね」
部活が終わって、部室棟の隅に呼び出された私は、改めて前田先輩に深々と頭を下げられた。
「全然っ大丈夫ですよ。それよりも、前田先輩の代わりが務まるか…」
不安だった。
「何言ってんの。さとりなら私よりも何十倍も完璧にできるわ」
小柄な前田先輩は、優しく微笑む。
だって、先輩達にとってとても大切な大会だから…
その分プレッシャーがずしりと私にのしかかる。
「そりゃあ、最後の大会に出られなくなって悔しいし…さとりにもプレッシャーをかけちゃって申し訳ないって思う…」
「先輩…」
ひっそりと立つ街灯が、先輩の寂しい気持ちを青く引き出しているようで。
胸がきゅっと締め付けられた。
「でも、今まで頑張ってきた他のメンバーまで悲しくさせたくないの。さとりなら私の補欠だっからパートも完璧だし、みんなも私も安心して大会を迎えられる」
ねっ?と首を傾げる前田先輩は、この上なく可愛い。
小動物みたいで、女の私でも見惚れてしまう。
危うく思考が違う方向へ進み出そうとしたので、私は笑顔で頷いた。
「任せてください!」
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