「なんだよ?」
「良いの?言っても?」
「いや、言うな。絶対言うな。」
「このネタ、しばらく使えそう。」
「馬鹿じゃねぇの?」
残っていたコーラを飲み干した。
「具合でも悪いのか?」
この男、ほんと鋭くて嫌い。
「まぁね。」
「心配なんだ?」
「まさか。」
「ふぅん。」
熱いコーヒーに手を伸ばし、しばらく黙って飲んでいた。
「香々美さん、お願いしまーす。」
「はい。今行きます。」
仕事モードに切り替え、颯爽と席をたつ。
さすが主演の風格。
「愛ちゃんによろしく。」
「ぶっっ!」
コーラが辺りに飛び散った。
笑いながら撮影に入って行く背中にタオルを投げながら、あいつの顔が横切った。
「食ったかなぁ。」
「受かった!受かった!」
携帯が壊れるんじゃないかという勢いで叫んでる。
「あんまり自信なかったんだぁ。良かった〜。濂ちゃんと一緒なら、朝のバスも安心だしね。」
「愛、あのな、」
「あ、まだおめでとう言ってもらってない。」
「おめでとうさんです。入れてくれる高校あって良かったな。」
「頑張ったもんね。」
「………そうだな。」
「お祝い頂戴ね。」

