学校に着くと、私は校門の前で立ち止まった。
よし、ここで待ち伏せして一緒に教室に入っちゃうもんね!
ベクトル女の底力、見せてやろーじゃないの!
そう意気込んでると、例のあいつが挨拶もなしに私の横を素通りして行った。
ほわぁ…今日もカッコいーなぁ。
……っじゃなくてっ!
「ちょちょちょちょ!無視って何よ!挨拶ぐらいしてよ!」
私がそう言って、ヤツのカッターシャツの裾を引っ張ると
ものすごく不機嫌な顔をこちらに向けて、
「あのさぁ、使っただけだって言ったよな?もう関わんなっつーの。」
と言った。
「せいぜい頑張れば?って言ったのはそっちじゃん!」
「あーじゃあそれ撤回。」
「んな!!」
「そういうワケでもう関わんないでね。」
一夜はそう言うと、左手をヒラヒラと振りながら歩いて行った。
「ちょっと待ってよ!」
「あ?」