「今度は何で喧嘩したの?」
私がそう聞くと唯ちゃんは、すぐそばの壁に人差し指で円を描きながら恥ずかしそうに言った。
もう、仕草がいちいちかわいいな!
「あの、ね……健が私の下着を勝手に洗った、の…」
はぁ~。
思わず出てしまうため息。
「あっ、椎!『そんなことか。』って思ったでしょ!」
思いましたとも。
だって『そんなこと』でしょ?
「私にとっては一大事なの!恥ずかしくてもう顔も合わせられないよ~」
赤い顔をしてしゃがみこむ唯ちゃん。
でも、健さんにも悪気があったわけじゃないんだろうし、早く帰ってあげて?
健さんが一番不憫だよ…。
私がそう思っていると……

ピーンポーン…

家のインターホンがなった。
「椎ー、帰ってるなら出てちょうだーい!」
お母さんがキッチンの奥からそう叫んだので、私は「はーい。」と返事をして玄関に向かった。
私の予想では、きっとあの人だと思うんだよね。