シオンの写真は、以前に送ってもらってみた事があったけど
オフィシャルサイトに載せているメイクした写真だけだったし面影はあるもののスッピンのシオンはかなり印象が違った。

なんて言うか、薄い顔?
まあメイク映えするバンドマンは得てして顔が薄いものだ。

skypeや電話で何度も話していたから、初対面でもそこまで緊張しなかった。
それが彼に恋心を抱き始めたきっかけだったのかもしれない。

アユムの子供らしさに飽きてきたのもある。と言ってもシオンはあたしの一つ年上で、彼も十分少年心が感じられた。


結局、相当年上じゃない限り男は皆ガキだって事だ。


その後二人で居酒屋に入ってひたすら酒を呑み、視界がぼやけ始める。
酔ったせいかつい本音を喋ってしまった。

『最近さー、彼氏のアユムいるじゃん?名古屋のー。正直疲れるんだよね。お金もないし』

「別れればええやん。そんな男。レイちぇるにはもったいないで?俺がおるやん笑」

『えー?じゃあ何?シオン付き合ってくれるのー?』

冗談交じりにそう返すを以外にも彼は

「ええで。でも俺すげぇやきもち焼きやから、他の男と連絡取るの許せへんで?」

『そんな事言ったって、向こうも急には別れてくれないと思うよ』

「切ったらええねん。着拒や着拒!」

そう言っていきなりあたしの携帯を取り上げ、いじり始めた。

『ちょっと何してんの?返してー!』

「だからゆったやろ。着拒やって。ついでにアドレス帳からも消去っと」

華奢な上にもドラマーらしく筋肉のついた腕から、携帯を取り返せないままシオンは素早く殆どの男の名前を消去した。

『もー何してんの!』

「これでレイちぇるは俺だけのものやん?」

いやいや。ドヤ顔で笑うな。やってることかなり病的だから。
でもそれが異常な束縛なのか、愛情表現の一部なのかその時のあたしには判断出来なかった。