その日は、リュウの家に泊まった。
びっくりするぐらいボロい木造アパートだったけど、スケボーブランドのTシャツやキャップがいかにもリュウの部屋だな、と何だか東京で一緒に暮らしていた頃がデジャブした。

相変わらず、お金に縁がないのか浪費癖なのか知らないが部屋には洗濯機も冷蔵庫もテレビもなかった。

昭和初期かよと皮肉を言いながら、唯一の電化製品のPCでバカ動画を観ながら二人で過ごした。

時間が巻き戻ったみたいだった。
心の中で、どんどん気持ちが膨らんでいくのが分かった。

でもそれを言葉に出して彼に伝えることが出来なかった。
「もう元には戻れない」その言葉を聞くのが怖かったのだ。

お互い過去の肝心な部分には触れないまま、夜は更けていった。

宅呑みしながら、気が付けばキスしていた。
手が触れ合った瞬間から、もう衝動は止まらなかった。

「家の壁薄いから、移動しよう?」

そう行って家を出た。
すぐ近くにホテル街があったのだ。

男にしてはびっくりする位、柔らかい唇も筋肉質な四肢も少し肉のついた腹部も去年と何一つ変わってなかった。

彼の下で揺られながら、涙が零れた。
快感と再会の感動で溢れた滴だった。

リュウは久しぶりのあたしとのSEXに緊張したのか絶頂は迎えられなったけれど、その後は部屋に戻って昔の様にくっついて眠った。

来てよかった。

心からそう思った。