翌朝。

ミオはあたしの化粧した顔が嫌いなので、Diorのグロッシーで素っぴんを隠しながら

アユムとイタリアンレストランにいた。

一杯目から赤ワインを呑もうすると、アユムに叱られ

ブスッとしたまま、アンティパストにフォークを伸ばしながら口を開いた。

『ねぇミオになんて言おう…』

「素直に会いたかったっていえばいいやん」

『でもミオって重たい女嫌いじゃん』

「じゃあごめんねって」

アユムの言ってる事は何一つ的外れじゃなかったけど、唯重たい女だと思われてフラれるのが嫌だった。

昼食の席で決まった話す筋書きは、
いきなり押し掛けてしまったことをまず謝ること、そして今後も恋人関係は続くのかだった。

二時間話し合って決まった事がたった二つかと落胆しながら、どんな顔をすればいいんだろうとずっと考えて

気がついたらミオのマンションの前だった。

大きく深呼吸して、インターフォンを鳴らす。

「はい」

『レイだけど。開けて?』

「はいよ」

ミオの声が何時もと変わらないのが逆に怖かった。