呑み過ぎなのか、疲れなのか、はたまた解離性同一性障害の症状なのか

今となっては分からないが、気がついたら品川駅を目指して暗い夜道を歩いていた。

あたし何してるんだろ。

ああそうか。ミオに会おうと思ったんだ。

とうとう記憶が混濁する程、遭いたいと懇願し始めたか。


心配して狂った様に電話をかけ続ける母に連絡をし、あたしはタクシーで品川駅に向かった。


新幹線はまだ何本か残っているし、下ろせば金はある。

ミオは迎えにいけないと文句をつけ、代わりにアユムが来てくれるらしい。

初対面がこんな形で申し訳ないな、と思いながらも躊躇はしなかった。

それは、激動の逃避行へと続く道でもあった。


成長して世界を支配してしまった人間には、予知能力がない。

何か分かっていれば、世の中はもっと心に優しい筈だ。


傷ついて大人になるのか、傷つきすぎて傷がつかなくなるのか

未だに答えは出ない。