それでも、簡単には心は抑え込めない。

心は順序立って変動したり、因数分解の様に答えを出せたりしないものだ。

どんどんあたしは、お酒に逃げるようになった。

仕事中はずっとウィスキー。同伴ではワインカクテル何でも呑んだ。お酒強くて困る事はないだろう。


そのうち店では、レン=害のないアル中みたいな

割とポジティブな受け止め方がされてきた。

別に、アル中だっていいじゃない。仕事出来てるんだから。

そう開き直っていた。それでも誰かが、あたしを必要としてくれるから。

あの時、いじめられて田舎の隅で手首切って女の子がネオンの光になれるのならそれで。

日々が日差しと暑さを増し、息苦しくなるような夏雲を連れてやってこようとしていた。

夏がやってきた。