「お前いい加減気づけよ。この部屋にレイがいる時点で如何考えたってそうだろ」

「じゃあ何だよ。俺と別れたのはミオとより戻すためだったのかよ!」

「言いたいことあるならレイ、お前も言え。ゆっくりでいいからな」

ミオの声はあたしには優しかった。こくんと頷いてゆっくり顔を上げた。


かつてあんなに愛した人と今愛おしくて堪らない人が二人してあたしを見ている。

此処は一体どこなんだろう。

あたしは、嗚咽交じりで今まで言えなかった事を吐き出していった。

ずっと不安だったことも、嫌だったことも。

涙と一緒に全部あたしの中から流れ出ていった。

『嫌だった…ヒカルがずっとまともに働かないのも。何にもあたしに干渉しない事も。ずっとずっと不安だった』

「じゃあ何?毎日愛してるって言えばいいの?SEXすればいいの?そん事じゃなきゃ安心できないのかよ」


そういう事が言いたいんじゃない。嗚呼、どうしてこんなにも気持ちはすれ違うんだろう。

「なぁヒカル。お前そんなにむかつくなら俺を刺せよ」

デスクの上にあったサバイバルナイフ。それは何時しかミオの手の中にあった。

「何言ってんのお前」

「俺がレイを奪ったんだから。お前と付き合ってるの知ってて、別れて俺んとこ来いっていったんだよ」

「お前を刺せばそれで解決かよ」





『もう…やめてよ!』

どこからそんな声出たんだろう。自分でもびっくりするくらいの声が部屋に響き渡った。