後ろに行こうとして、リュウを見たらガクガクに震えていた。


『『なんだこいつ、死にたいとか言って死ぬの怖いんじゃん』』


『震えてるよ』

「ごめん…怖い…」

『もういいよ。死ぬ気ないんでしょ?!あたしもう、一人で死ぬから』


そう言ってベランダにあったホースをぶった切って
首が吊れるようにドアノブに括った。

「ごめんレイちゃん!俺も死ぬから!ねぇ一緒に死のう?」

自暴自棄な気分で残りのホースで同じのをトイレのドアノブに括った。


二人で首をかける。

『逝くよ』

同時に手を離した。

意識が遠のく直前に愛した人の死に往く姿を観て

世界の終わりを見た気がした。




首吊りの場合、一度、意識は戻る。
どのくらいで一度戻るのかは判らないけれど、それを我慢して通り越せば死ねる。

あたしは戻った意識に耐えて、永遠に意識がなくなることを願ったけど、
耐えられなかったリュウは、自分のを外してあたしのを外した。


「ごめんね…レイちゃん…ごめんね…」


結局あたし達は死ねなかった。