意外な答えに私はおどろいた。
香織 「沖縄?へぇ~私行った事ないの。」
 撮影でハワイに行くことはあったが、沖縄は私の知らない場所だった。
香織 「ずっとそっちに住んでるの?」
いさむ「いや、もともとは東京に住んでいて、4年前にこっちに移り住んだんだ。」
香織 「奥さんか誰かと?」
 どうせそんなもんなんじゃないかって私は思った。夜な夜な奥さんが寝静まったころに。パソコンを立ち上げ、見ず知らずの女の子に声を掛ける。
いさむ「いや、一人でだよ。」
 一人という言葉に、ただその言葉だけになぜか私は共感を覚えた。
香織 「どうして一人なの?」
 私の質問は無意識の物だった。
いさむ「どうしってって、一人じゃだめかな?一人が好きってことでもないけど、自分のやりたいことがあったから、人生は一回しかないからね。前に進み続けたいと思った。解りづらい答えでごめんね。」
 私はもっと具体的な答えを聞きたかった。
香織 「前に進む?いさむ君のしたいことってなんだったの?」
いさむ「僕のしたいこと?」
香織 「うん。」
いさむ「永遠に残る物を作りたいんだ。」
香織 「永遠・・・?」
 永遠なんて言葉久しく聞いていなかった。そんなものが、世界に存在することすら、私は忘れていた。そして、その言葉を口にしたいさむを私は不思議に思った。
いさむ「そう、永遠にそこにあり続けるもの。」
香織 「それってどんな物?」
いさむ「人によってそれはみんな違うのかもしれないけど、、、。」
 彼は少し言いよどんだ、私はその答えを彼に急かした。
香織 「いさむ君にとっては?」
いさむ「僕にとっては。ガラスだな。僕はガラスを作ってるんだ。」
香織 「ガラスを・・・?」
いさむ「世界に一つしかない物を作り続けたいと思ってる。」