甘酸っぱい彼

修のメールを見てあたしは自然と涙が出た。

やっぱりあたし、修が好きだ。でも過去を知られて嫌われるのが怖い。それでも修は嫌いにならないと言ってくれてる。その優しさを無視したくない。

あたしは気がつくと修に電話をしていた。耳元で鳴るコール。でもそれはあっという間に消され、代わりに修の声へと変わった。
「もしもしッ。百季！？」
「修、ごめんね。」
「なんで百季が謝んだよ。無理に聞こうとした俺が悪かった。ごめんな。」
そんな言葉にあたしの涙の量はエスカレートしていく。
「てか百季、泣いてんの？」
「平気、気にしないで。・・・それより、今から会えない？」
「えっ・・・？」
「あたしの過去、話したい。」
「でも・・・、嫌じゃねーの？」
「修が嫌いにならないって言ってくれたから。」
「・・・分かった。」
「じゃあ、みつば公園に来て。」
電話を切るとあたしはパジャマから最近買ったばかりの簡単に着れるポンチョに着替えた。メイクはしてない。ケータイを手に取ると、お気に入りのスニーカーを履いて家を出た。



あたしの家からみつば公園までは歩いて３分くらいの距離。昼間は子供たちがたくさん遊んでるけど、この時間は子供たちがいないため人気が少ない。だからこの公園にしたんだ。
公園に着くと修がもうすでにいた。近くに自転車があるからおそらく自転車で来たんだろう。
「修、ごめん待たせて。」
あたしは修が座っているベンチに座った。
「大丈夫。今来たとこ。」
修の顔をまともに見ることができない。しばらくの間、沈黙が続く。でも言わなきゃ。
「あのさ、修。あたしね、お母さんが居ないの。」
これがあたしの過去の始まり・・・。