「・・・っと、ケータイ持ってきて。」
「どうぞ。」
「つか、この子可愛いっすよね? 男の方に迫ればいいんじゃないんすか?」
「別にこの女には興味ないわ。ただの人質よ。」
なんだろう・・・この声、どっかで・・・。つか、ここ学校のはずじゃ・・・。なんで女の人の声が・・・? あたしは疑問に思い目を開けた。
「やっと、目開けたぁ。」
「美・・・美衣奈ちゃん?」
そこには少しメイクが濃くて椅子に座って足を組みナイフを持った美衣奈ちゃんがいた。
「やっと気付いたね。ふふっ・・・何その目。そんな目で見ないでよ。」
「美衣奈ちゃんここ・・・。」
あたしは言葉を言いかけて止めた。だってさっきいきなり襲ってきた男の人たちがいたから。
「まさか・・・。」
「そう。やっと気付いた? 今から修に来てもらうから。きっと跳んでくるでしょうね。
アンタが人質にされてるって聞いたら。・・・でもね、修はあたしの物にするから。」
美衣奈ちゃんはそういうとケータイを開いてボタンを押し始めた。
「来ないと思うよ。美衣奈ちゃん、無駄なことは止めよ?・・・修はあたしなんかのために来るわけないよ。」
それでも美衣奈ちゃんは止めず、ケータイを耳に近付けた。

プルプルプルッ

電話の音が漏れて聞こえる。
「あっ、修ー。修のクラスの女、・・・えっとぉ。・・・相沢百季。ここにいるよ。早く来ないと死んじゃうよ・・・嘘なんかじゃないよ声聞く?・・・・・・喋って。」
あたしは向けられたケータイに戸惑って何も言えなかった。
「早く喋って!」
美衣奈ちゃんがナイフを向けてきてあたしは怖くなった。
「し・・・修ッ! 来ちゃダメ!!」
勝手に声が出ていた。なんでだろう、怖いのは確かなのに修には来てほしくないって思ってしまった。