甘酸っぱい彼

「はいはいっ、すみませんでしたぁ。」
祐介は慌てて行った。桂太郎は拳を下ろして祐介を睨んでる。
「桂太郎のパンチは人の倍以上痛いのよ。・・・おかしいわ、この骨っ。」
「少なくとも祐介は殺せるなぁっ。」
「やっ・・・やめてぇっ・・・！！」
あたしは二人のやり取りがおかしくて、つい笑ってしまった。


しばらく二人のやり取りに笑っていると、誰かの携帯が鳴った。
～♪
「誰の携帯の音？・・・俺じゃないわよ？」
「・・・あたしのでもないよ？　桂太郎じゃない？」
「んっ・・・あっ、俺や。・・・はい、もしもし？　あー、香奈ッ。」
桂太郎の電話の相手は香奈ちゃんらしくニヤけた顔で話してる。本当にラブラブだなぁって思っていると、急に桂太郎の顔が険しくなった。
「うん・・・うん・・・。　わかった、今から百季ちんと祐介とそっち行くわ。・・・そこに居ろよ？　うん、菜生は居るんか？・・・わかった。・・・じゃあな。」
桂太郎は電話を切ると下を俯いたまま黙り込んでしまった。
「香奈ちゃん・・・なんか、あったの？」
あたしは控えめに聞いた。すると、桂太郎はゆっくり話し始めた。
「香奈のところに、桜田が来たらしい・・・。そんで、いろいろ言われたんやって・・・。」
「例えば？・・・どんな事よ？」
祐介は少し怒った口調で言った。