け・・・結局、あんまり歌えなかったぁ・・・。

あたしはあの後歌ったけど、声が裏返りそうになって止まっちゃったり・・・修を見たら声が綺麗で聞き入ってしまったんだ。あたしたちはカラオケボックスを出ると解散した。帰ろうとして歩き始めると声をかけられた。
「あっ! 百季ちゃんっ、待って!」
あたしはびっくりして振り向く。声の主は菜生ちゃんだった。
「菜生ちゃんっ?・・・何?」
「せっかく仲良くなったんだから、メアド教えてよ。」
あたしは嬉しかった。今まで周りが男ばっかりだったから気持ちが弾んだ。
「うんっ。じゃぁ、赤外線で送るね。」
「あ~っ! うちも~っ! 百季ちゃん、うちにもちょーだいっ!」
香奈ちゃんはさっきまで桂太郎とイチャイチャしてたのに、いつの間にか菜生ちゃんの隣でつけまつげをした大きな目をパチクリさせてる。

それにしても・・・二人とも可愛いなぁ・・・。

あたしは二人の顔を覗き込む。
「どうかした?」
菜生ちゃんがあたしの視線に気づいてケータイから目を逸らし、あたしの顔を見つめてくる。
「いやっ、その。・・・二人とも可愛いなぁって思って。」
「菜生はうちの学校のアイドルって言われてるんだよっ。・・・ね、菜生?」
「男子が勝手に言ってるだけでしょっ! つか、今言わないでよね。・・・恥ずかしいじゃん!」
菜生ちゃんは顔を真っ赤にしながら香奈ちゃんを叩いてる。

菜生ちゃん学校のアイドルなんだっ。