「じゃあ、なんで、今まで仲良くしてたんだよ! 知ってたんだろ! なんで、笑ってたんだよ! なんで、俺なんかの事好きって言うんだよ! おかしいだろ!!」


今まで、聞いた事のない声。



見た事のない顔。


「嫌だったの? 私が、嫌というほど婚約者にこだわってたのは、この事があったから……。でも、私は優しくしてくれたれんが……知らないうちに、好きになってて……」


「でも、俺は、かなの家族をめちゃくちゃにしたんだ! 知ってるんだ、俺があんな事しなければ、かなが幸せだったって!!」


「確かに、お父様は、あの日を境に私に厳しくなった……。私は一人だった! でも、それをれんが埋めてくれるんじゃないかって、思って……。れんなら、私の事、わかってくれるんじゃないかって、思えて……ゴホッ! ゴホッ!」


遼が私に駆け寄る。


私は喉が弱い事を今、思い出した。