確かめたかった。

確かめなければいけない気がした。




ーー蒼が好きかーー




そう聞いた時のあいつの顔は、とても困惑していて‥



あぁ‥

そんな顔するなよ。


困らせたい訳じゃなかったんだ‥


ーーーー‥魅。





その後は無意識だった。


夢中になって魅にキスをしてた‥。



魅が苦しそうに酸素を求めても関係ない。



魅が欲しかった。


魅に笑って欲しかった。



魅が‥

好きだったーー‥



俺と颯斗をカンペキに見分けることができる魅。


俺を『海斗』と呼んでくれる魅。




蒼が魅に出会ったっていうあの夜、

もしそれが

蒼じゃなくて俺だったら‥?




胸が、苦しいーー‥っ



苦しくて


苦しくてっ


心臓が潰れてしまいそうでーー‥





俺は静かに

隣の部屋に戻ったであろう魅に聞こえないように‥



声を殺して




ーー‥泣いた。





今まで


“海”と“風”だけだった世界に‥



“黒い猫”が入ってきた。




海兎は、黒い猫が大好きだった。


黒い猫が海兎のものになるのは、難しいかもしれない。



でも



側に居て欲しいから


黒い猫が笑うその顔をずっと‥見ていたいから



だから少しだけ

ほんの少しだけ




泣かせてくれ‥




次に顔を合わせる時は


きっと笑顔で話せるようにーー‥









ーーーーーー‥っ