片翼の天使




「おい」



後頭部から手が離れていたから、ふっと声の主の方へ顔を上げる。



また、あの瞳‥


海斗?

どうしたの‥?



「ーっ、そんな瞳すんなっ」



海斗はそう言うなり、私の手首を掴んで部屋の中へと引っ張った。


私は転ばないように、よたよたとついて行く。



広い部屋の中。

左奥まで行くと、海斗は手首を離し、茶色の麻の布がかかったソファーにドスっと座った。



う‥

今度は機嫌‥悪いのかな?



ポンポンと自分の隣を叩く海斗。

座れってコトだよね‥?


ゆっくり私も海斗の左隣に座った。

少し距離を開けて‥



海斗はあぐらを掻いて座り直し、私を正面にして

じっ‥と見つめた。



ーー‥あの瞳で‥





「お前さぁ‥」



やっと口を開いた海斗。





「蒼のこと、どう思ってる?」





ーーーー‥え?





「‥そのー‥“好き”なわけ?」




あぐらを掻いた足の両足首を、爪が食い込むくらい強く掴みながらそう聞く海斗の声は‥

ーー‥悲しそうだった。



本格的に顔を出した太陽の所為で

逆光になってしまった海斗の表情は見えなかったけど。



きっとまた‥

あの、



泣きそうな瞳をして言っているんだろうーー‥




ーーーー‥っ




胸が

私の胸が‥


張り裂けてしまうんじゃないかってくらい



苦しいーー‥っ