片翼の天使

「うわっ!なんだよお前!」



もともと大きめな瞳を、更に大きくしてる海斗。

私のがびっくりしたよ~



「はぁ~‥」



海斗は、盛大にため息をこぼすと、頭をガシガシと掻いた。



「なんか用?」

「あいや‥」



用?うーん、なんて言えば良いのかわからなくなった私は、



「あっ!今日は、色々ありがとう!!」



まず、お礼を言った。



「あぁ」



目を細めて綺麗に微笑む海斗は、さっきみたいな瞳はしていなかった。


思い過ごし‥かな?



「お前、それだけを言いに来たわけ?」



海斗‥鋭い。



「眠れねぇの?」

「あ‥うん、なんだか寝付けなくって」

「ふぅん‥」



会話が行き詰まる。

今まで、海斗が相手で、こんなこと‥なかったよね?

ーー‥やっぱり変!



「ねぇ海斗」

「んぁ?」

「具合‥悪い?」

「ー‥なんで?」

「え?えっと‥ゲームしてた時、何てゆーか‥その‥

悲しげな瞳をしてた気がしたからー‥」



私はずっと、海斗の目を見て言った。


でも海斗は、ふっと視線を泳がせて、私から瞳を逸らした。



そう。

これがあの時の瞳だ。


その時、

ここから1番遠い、左端のドアがガチャリと音を立てて開く。

あの部屋は‥蒼さんの部屋だ。




その瞬間ーー‥



ガシッと腰を引き寄せられ、ぽすっと腕の中へ入った。



海斗が動かない‥



蒼さんは出てきたのかな?


この状態を見てるのかな?


なんて思うかな?




‥蒼さんは、私のコトをどう思ってるのかなーー‥?



私‥はーー‥?



海斗が私の後頭部を押さえてるから、私は様子を見ることが出来なくて。





ーーーー‥





数分?数秒だったかもしれない。

フリーズしかけた頭でぐるぐる考えていると、



タンタンタンーー‥



階段を降りていく音がした。




蒼さん‥やっぱり見てたんだ‥




少しだけ‥


少しだけーー‥




ちくん‥って、胸が鳴った気がしたんだ。