「お誕生日おめでとっ魅」



ニコニコしたでっかいその人が、ケーキの横からひょこっと顔を出した。



「ほらっ、恍一朗くん特製ケーキですよ~」



フルコーラスを唄いきって、楽しそうに笑うコウくん。


その手には、

おっきなコウくんが、ちっちゃく見えるほどに立派な、2段のイチゴのケーキが乗っていた。



「う‥わぁー‥」



また目尻から涙が零れ落ちる。


さっき、あれだけ泣いたのにね?


次から次から流れ落ちるしょっぱい雫は

きっと

きっと、


幸せの“証”‥だねっ



「えへへ」



私はブラウスで目をこすって、みんなに、すごく不細工であろうめいっぱいの笑顔を向けた。


そして発した



「ありがとうっ」



やっと言えた、

“ありがとう”の

言の葉。



その言葉がどれだけ重要で、どれだけ幸せなのか‥

理解できた気がしたんだ。


みんなが私を見つめるその瞳は、とても優しくってーー‥



私の授かった翼は


片方でも飛び立てそうなくらい


すごく生き生きとしていた。





ーーーーーーーー‥





ガチャ‥





いきなりお風呂場へと続くドアが開いた。


7人とも少しビクってなって、その音の方へ視線を投げる‥。



ドアから出てきた男は、その蒼みがかった瞳をパチクリさせてーー‥



「な‥なにごと?」



と、呟いた。





ーーーーーー‥




ーーー‥ん?