片翼の天使






ーーーーー‥






ワタシの髪をゆっくり優しく撫でる優花。






ーーーーーーーー‥






う‥




「うぇっ‥ひっく‥ひっく……


ーーーーー‥っ




う゛わ゛ーーーんっ
うわー‥っ」




「おぉ、よしよし」



“私”の頭をポンポンと叩く優花。



横向きに足と腕で“私”の体を挟み、強く抱きしめる蒼さん。



「み゛い゛る゛~」



って鼻水までずるずるのコウくんが抱きつこうとしてるのを、蒼さんが右手で押さえてる。



「「だぁっはははひは」」



お腹を抱えて笑いながら、ガラステーブルをバシバシ叩く海斗と颯斗。


海斗は、笑いながら泣いてるのか、泣きながら笑ってるのかわからない。



「泣き声が面白い~」



颯斗なんか床に転がってる。涙で綺麗な顔が台無しだけれども。



海斗に叩かれているガラステーブルをひょいっとさり気なくどかしながら、肩を揺らしてーー‥

やっぱり笑ってる。


ううん。

少しだけ目元が光ってる拓弥さん。



「みぃちゃぁ~ん」



大泣きしながらハンカチを貸してくれる、親友の柚子。




いっぱいいっぱいいーっぱい泣いた。


おっきな声で


喉も涙も枯れるまで
泣いた。




過去を2度目の思い出にしようと決意した涙。


帰ってきても良い場所が出来た事への涙。


こんな私の為に笑ってくれた皆への涙。


友達から親友になった記念の涙。



そして



みんなの側に居られるという事への涙‥。




不幸を運ぶと言われた黒猫は







“仲間”

という片翼を



授かったんだ。