片翼の天使


指で目尻を拭いながら電話に出たタクの

‥顔色が変わってく。



タクは、「魅ちゃんがいなくなった」とだけ声を発した。



俺はすぐに、タクが叫んでる声を振り切ってエントランスを飛び出した。

必死で走った。


行くって言ってたケーキ屋。

駅前。

繁華街。

帰宅ルート。



いない


いないっ


いないっ



またお前は

俺の手から離れて行っちまうのか‥っ



帰宅ルートの途中の公園に、人影が見えた。

女同士の言い争う声がする。


興味はない。

巻き込まれたら面倒くせぇ。



けど、その声の中に



「ーーみぃは‥」



って聞こえたんだ。


近くまで寄ると、街灯で顔が見えた。

5対2で言い争っている女ども。


2人の方は間違いなくアイツの友達!!



「おいっ!!」



声をかけると、

2人は笑顔になり

振り向いた5人は硬直した。



「こいつらがみぃを攫ったんだ!」



その言葉に、俺の心臓は凍りついた。


5人の内、リーダーであろう最もケバい女を締め上げ、アイツの居場所を聞く。



「学校の‥旧校舎側のー‥鉄材倉庫‥」



と同時に、アイツの背の高い方の友達の携帯が鳴る。


どうやら相手はタクで、GPS追跡の結果、アイツは学校にいるとのこと。


合致した。


俺は17年半生きてきた中の、最速で走った。




大事だった。



俺は、それ程アイツが


アイツのことがーー‥




鉄材倉庫の青い扉を、途中で合流した4人とぶち壊す。


扉側にいた2人は双子が。

コウは女2人を護って

俺はアイツに触っている2人のクソどもに蹴りを入れる。



アイツの姿を見た俺は‥


、‥っ




抱きしめることしか、できなくてーー‥



はだけた胸

捲り上げられ、露わになった白い脚



ーー‥あの日みたいに生気のない瞳‥


護れなくてごめん


キズつけてごめん



これからはずっと

俺が側にいるから‥



気が付いたら

俺は


夢中で魅にキスを降らせていたんだーー‥