私にお父さんはいない。


ーー‥ううん。

いないことにしている。



お母さんを溺愛していたお父さん。


お母さんに瓜二つの

ワタシ。





ーーーー‥






ヤメてーー‥っ





ーーーーーー‥






「お父様に随分と可愛がられてたそうねぇ?」



クスクスと笑う彼女の声で、頭が割れてしまいそうで。





ヤメテ





「お母様も、あんたなんかにお父様を奪われて
さぞかしあんたが憎かったでしょうに」





ヤメテ‥





「お父様もお母様も、あんたの所為で亡くなったのよねぇ?」





ヤメテ‥





「お母様もきっと、あんたから解放されて喜んでらっしゃるわぁ」





ワタシガ


キライダッタ?


オカアサン‥





「王子様方だってオトモダチだって同じよっ!!」




イワナイデ‥




「あんたなんかを側に置いたのは気まぐれ!物珍しさ!!スグに飽きて捨ててしまわれるわっ」




クルシイ。




「あんたの居場所なんてどこにもないのよっ!」




もう、彼女達の声が耳に入らないくらいにフリーズしている、私のアタマ。




蹴られたって


殴られたって



痛くない。



所詮

黒猫は黒猫のまま。



不幸を運ぶ黒猫に


居場所なんてあるわけがナイ。



ましてや



ツバサナンテ




モトメテハ



イケナイ。