片翼の天使

うんーーーまいっ!

うまーい!!


美味しすぎですこのお店のケーキ!!


外観は西洋のお城みたいで、内装も、入った扉の真ん前にケーキカウンターがあってシンメトリーなんだ。

壁は象牙色で柔らかい雰囲気。

ケーキはね?イチゴのと、チョコのと、チーズのと‥って、いっぱい。


計5個も食べてる私を少し呆れながら笑顔で見てる2人。


人がいっぱい居るのにお誕生日の歌まで唄ってくれて。へへ。

嬉しいですっ!!



大きな窓から見える春の空が、蒼から橙‥そして紫になるまで喋くってた私たち。

柚子の運転手さんがお迎えに来た為、これにてお開きです。



「ごめんねぇ、みぃちゃん。私がお呼ばれなんかしなければ明日は一緒に居られたのにぃ‥」



と、名残惜しそうに私を抱きしめる柚子。

イタリアでお父様主催のパーティーがあるとかで、明日は日本にいないんだって。

ふふ、お嬢様だなぁ‥


柚子が車に乗り、見えなくなるまで見てた。


前日でも、お祝いしてくれるだけで嬉しいよ?


暗くなり始めた道を、優花と2人で帰る。

優花のお家は私の元の家に近い。


他愛もない話をしながら笑っていた時、優花の携帯が鳴った。



出ようかどうしようか悩んでる優花。



「その音楽、彼氏さんでしょ?出てきなよ」

「でも‥。みぃを1人で帰らせる訳にはいかないし」



7人の中に、私は1人で帰宅してはいけない条例でも出てるのかな?



「じゃあの公園のブランコに居るね?」

「ん。ありがとっみぃ。スグ終わらすから待ってて!!」



あは。スグって彼氏さん可哀想かも。


私はブランコに座り、もう紺色になった空を見上げた。


春の星が瞬き、下弦の月は細く、猫の爪みたいで。

なんだか、月も笑ってるように見えた。


明日どうしようかな。
5人には誕生日だってこと言ってないし‥

お出かけでもしようかな?



そんな事をぐるぐる考えていた。



そしたらふと‥

目の前が暗くなって、眠‥くーー‥なったん‥だ。