片翼の天使




ーーーーーーー‥






「……ねえ柚子。みぃ、危なくない?」

「私も思ったぁ。女の子は私たちがいるから大丈夫だとしてぇ‥」

「いや。女もヤバいかもよ?」

「あ~‥“あの”王子たち5人と暮らすんだもんねぇ」

「あいつらが一緒に登下校するんじゃん?」

「うん。5王子も理解してるでしょぉさすがに」

「そーだよね。それ以外では、私たちが守んないとっ!!ーー‥問題は」

「「男(の子)」」



私を挟んで

私が解らないことを

おそらく

私のコトを話しているであろう、


恐ろしく真剣な2人。



2人とも綺麗な顔してるから、真顔になった時の怖さったら類を見ないわけで‥



訳がわかんなくって

会話に入れて欲しくって

理解したくて。


2人の恐い顔を、交互にそわそわ見る私。



そして

私の顔を見ながら



「「はぁーー‥」」



盛大に。

しかもハモりながら、ため息をつかれる私。



なんなんだようっ!!



今日から5月は後半に突入した。

暖かな風は、相も変わらず私たちを撫でては過ぎ去り‥


その蒼い空は澄み渡っていたが。



不穏な雲が近いていることなど、

呑気な黒猫が気づいてるハズもなく。



もうすぐ私は、



16歳になるワケです。