片翼の天使



はぁーーー。と男は激しく長いため息をついた。


幸せ逃げちゃうよ?



「ハズレ。僕は颯斗。あんたさぁ、僕と海斗、判んないでコクってんのね」

「えっ?」



また黄色い扉が開く音がして、足音が入ってきた。



「言われるまで気づかないとかどんだけなワケ?」


低くて冷たい声。

だけど、似てるけど、さっきのとは違う、悲しみを含んだ声。



「え‥あのっ‥」



今にも泣きそうな声。



「「区別つかないで告白だなんて、最低だね」」





パタパタパタ‥

バタン


女の子が走って出てったんだ。きっと。

最後の声にならない聲‥泣いてた気がする。






ーーーーーーーー‥







「やっぱりダメだったね」

「当たり前だろ」

「僕等を見分けられるのは‥」

「「僕・俺等だけ」」





風が‥

5月初旬の暖かい風が
ふわりと吹く。


私の真っ黒な猫っ毛が、ふわっとなった瞬間ーー‥


「へっくしょぃん!!」





ーーーーーーー‥







あ、やっちゃった?