「魅ちゃん、入って良い?」

「はい」



あれからみんなと離れて、荷物の片付けをしてた。

あ、荷物なんて全然ないんだけどね?



恥ずかしいトコ見せちゃったな……。


あの日‥涙なんて枯れたと思ってたのに。



「魅ちゃん、あの‥生活費を援助してくれていた親戚なんだけどね?」



あぁ‥連絡しなきゃ。
もう生活費はいらないって。

安心してください、
もうあなた達に会うことはありませんって。



学費は特待奨学金でタダだし。


お母さんは、私1人の生活費なら10年以上持つんじゃないかってくらいの遺産を残してくれた。


住む所があれば

高校卒業まで生きて行けるもん。



でも‥言わなきゃ。



‥ありがとうございましたって。






ーーーーーー‥





「連絡したんだ」



ーー‥え?



「事後報告になっちゃってごめんね?これからは、うちで暮らすんだから。ご挨拶しとこうと思って‥」



あぁ‥。

生徒会長のその顔が
何を言いたいのか解る。

私は疎まれた子だもん。


生徒会長を迎え入れたまま突っ立っていた私を、ふわっと包んだ彼の腕。



「ふふっ。出会った時もこの状態だったよね」


「え?あぁっ!!あの時は‥スミマセンでした」

「あはは。たった2日前の話なのにね‥」



生徒会長は私の頭を優しく撫でてくれる。




ーーーーーー‥





「こんなに近くに居てくれるなんて‥嬉しいよ」

「‥生徒会長?」



生徒会長の声が‥
震えてる気がしたの。



「それやめて?」



体を少し離して優しく微笑む綺麗な顔。



「魅ちゃんには生徒会長じゃなくて、名前で呼んで欲しい」

「拓弥‥さん?」



拓弥さんは、ふっと笑いながら「それで良い」って


ちゅっとキスをして部屋を出て行った。




ーー‥え?