お昼を食べるために生徒会室に来ていた。
誰もいなくて落ち着く‥
なのに。
「タクっ!!」
血相変えて勢い良くドアを開けたのは‥
蒼だった。
蒼銀の髪を乱しながら‥
蒼が走るなんて珍しい光景だ。
思わず笑いそうだった。
「何?蒼が慌てるなんて珍しいね?」
笑いを殺しながら尋ねる。
「ある女を調べてくれ」
「どうした?蒼が女に興味持つなんて初じゃない?」
そう。
蒼は、8歳の時から1人の女の子を想っている。
この顔だからモテるのに、どんな女でもダメだった。
どんな女でも、蒼の心を動かすことはできなかったんだ。
「見つけ‥たかもしんない」
それは、蒼が昔見たっていう‥片翼の真っ黒で真っ白な女の子の話。
幼なじみな俺らは、飽きるほど聞かされてきた。
「、っ!?どいつだ?名前は?」
「いや‥名前はわかんねー。ただ、1年だっ!!1年校舎の屋上にいたし、赤いリボンしてたし」
「容姿は?」
名前がわかんないんじゃ調べようがないよね?
「あー‥昔と変わらず、真っ黒でふわふわした髪の毛に……でかい真っ黒な瞳」
ーーーーー‥
「あっ」
俺は、幼なじみの中で唯一の1年のバカ犬に、すぐ電話をかけたんだ。