片翼の天使

教室に戻る途中の渡り廊下で、私を“五月女”だと知っている人たちが私を取り巻く。

取り入ろうとする。


私の機嫌は悪くなる一方だ。



「綺麗ですねぇ、桜」



その中の1人が発したその言葉に、私はふと“外界”を見た。


そよそよと流れる風に桃色の花びらが舞い、

さわさわと時の経過すらゆったりとさせる程の美しさだった。

満開の桜が学校の周りを覆い、綺麗だなぁ‥なんて感嘆の言葉が珍しく頭に浮かぶ。


--‥その時、



「Aくらーす!! 優花も一緒だーっ」



叫んだ内容はともかく、“美しい声”だった。

凛と空気を鳴らすソプラノ。風に乗せたその声は、ココロの中の何かを揺さぶるチカラがあった。

音源に目を向けるとそこには--‥


真っ黒で猫みたいな髪の毛に長い手足。

キラキラした溢れんばかりの真っ黒な瞳。


綺麗な子だった。

一瞬にして目を奪われた。



あの子‥Aクラスって言った?

同じクラスだ。



ってか何で?

何で今更、そのクラス分けの掲示板を見てるの?

入学式、終わったよ‥?



「--‥変な子」



それが私の、第一印象。