片翼の天使

あれから5年。

いろんなとこを探して、いろんな人に聞いて回ったけど、あの真っ黒で真っ白な女の子の手がかりはつかめなかった。


蒼は中学へとあがり、学ランにも慣れた頃。


風が初夏の青臭い香りを運び、空は蒼く高く、雲は一段と白さを増す。



そんな時だった。



コンコン



「コウ?居るか?」



いつもはノックなんかしないのに。どうしたんだ?



「あぁ。居るよ?」



がチャリとドアを開けて入ってきた蒼。



「友達‥なんだけど、入れても良いか?」

「え!? 良いけどっ」



友達をこの施設に呼ぶなんて、蒼が初めてじゃないか?

俺は、なんだか無性にワクワクした。



「良いってよ。入れ」

「ありがとう。お邪魔します」



そうして穏やかに入ってきたのは、赤みがかった茶色の髪に紅茶色の瞳をした、綺麗な顔立ちの‥


「お前、男か?」

「コウ‥。口の聞き方に気をつけろ」

「あ‥すみません」

「あははははははっ。良いよ。よく言われるし」


そう言って笑うその顔も綺麗な、男。

うん。学ラン着てるから、男。--‥だよな?



「なんなら、全部脱ごうか?」

「い‥っいいいやっ!! イイっす! 分かったっす! 信じるっす!!」



俺は全力で否定した。



「面白いね、蒼。君の弟は」

「まぁな。おらっコウ、挨拶」

「あ?あぁ。恍一朗です。よろしく」

「俺はタクヤ。紅澤拓弥だ。よろしくね」