片翼の天使

季節が一周しようとしていた。

おさがりの黒いランドセルを背負うことにも慣れ、あと数ヶ月したら、ひとつ、お兄ちゃんになる。


そんな、温かくて、寒さの厳しい日。


昨日の夜から降り続ける真っ白な雪は、都心にしては珍しく、歩きにくい程に積もっていた。



「綺麗だねぇ」

「あぁ」

「やんだら、雪合戦かな?」

「じゃ、やまないで欲しいな」



俺と蒼は、クスクスと笑い合いながら。

いまだに降り続ける珍しいそれを、部屋の窓から眺めてた。

飽きずにずっと。


だって、珍しいんだよ?


こんな日は、なにか楽しいことが起こりそうな気がして、ワクワクしてた。



雲は割れ始め、薄陽が射している。

もうすぐ、やんじゃうのかな?



「おぉーい!! 夕方の鐘を鳴らす当番は誰だーっ!?」



大きく響いた神父様の声。



「げ。俺らじゃね?」

「ヤバいよ蒼兄!! もう時間だっ」



子供はもう帰りましょうの合図。

この夕暮れを知らせる鐘を鳴らすのは、ここで暮らしている子供たちの仕事。



「急ぐぞっコウ!」


「待ってよ、蒼兄っ」



俺と蒼は、駆け足で鐘のある屋上まで登った。







ゴーン‥ガーン‥ゴーン--‥