俺の名前は洸一朗(コウイチロウ)。

この教会の前に置き去りにされていた子供。

つまりは、捨てられた子‥だね。


この名前は、神父様がつけてくれたんだ。

誰もがうっとりとするような、朗らかな人間になりますように。



……そんなの、できっこないよ。






「洸一朗、おいで」




神父様に呼ばれて光の下へと出る。

外は芯まで凍える程に寒くって、

吐き出す白は

薄明かりの空へと溶けていく。





「今日から施設が統合し、新しい仲間が増える。みんな、仲良くな」



穏やかに威勢の良い神父様の声が響く。







--------‥







この日のこと、

よく覚えてる。



薄い陽の光を浴びて
キラキラと光る、

この空と同じ色の
蒼銀の髪の毛。



俺と同じ、異国の色。

俺と同じ‥匂い。



小さな俺は、神父様の後ろに半分だけ隠れながら、その綺麗な新しい兄ちゃんを見ていた。




俺を見つけた兄ちゃんは、部屋へと入っていく途中でくしゃっと俺の頭を撫でていく。


その顔は、微笑んでいた‥と思う。





俺とアイツの軌跡。



俺の、新しい兄ちゃんとの出逢い。




蒼銀の狼と金の犬