片翼の天使

「あ、待って!」



呼び止める私の声に、くるりと振り向いた彼女。



ゾクッーー‥



緑光りするくらいの綺麗なふわふわの髪の毛。

真っ白い肌。


そして‥




光なんて一筋も通さないくらいの、

暗い、暗い、まるで死んでるような真っ黒な瞳ーー‥







ーーーーーー‥









ーー‥魅了された。

恐ろしい程に美しく、恐ろしい程に悲しい。


そんな、女の子。





「綺麗な子だよなぁ」



彼女の後ろ姿を眺めながら、彼の声でやっと意識を取り戻した私。



「知ってるの?」

「おぉ。ナンパしたもん」



ーーあっそ。



「G組の、黒姫 魅だろ?」



クロキ ミイル‥



「ほんっと綺麗な子だよなぁ。あ、俺は優花ちゃんのがーー‥で、‥‥ー?…」



黒姫 魅‥か。



“綺麗な子”

その言葉だけで片付けてしまうのは、間違ってるような‥。



私はこの時から、あの子のことが頭から離れなくなった。







草木は色を変える事に飽きたのか、

ハラリ ハラリと散ってゆく。



空はどこまでも高く

そして

始まろうとしている私たちを、ずっと見ているんだ。