片翼の天使




壁におでこをつけて悶えていた私。

突然ふっと暗くなった。



「高い空だなぁ」



振り返ると‥



「紫藤先生~‥」

「なに半泣きになってんだよ」



紫藤先生は、ははっと軽く笑いながら
私の頭をふわりと撫でた。



「お前‥空、好きか?」

「ほぇ?」

「ぷ‥くっくっ相変わらず面白れぇなぁ黒姫は」

「え‥と?」

「奏さんも、空が大好きな人だった」

「お母さんも?」

「あぁ」





お母さんも大好きだったっていう空。



高く 高く


広く 広く



蒼い空。




久しぶりに、真っ白な雲が1つだけ浮いていた。





「奏さんも、見にきたのかな?」

「え?」

「奏さんは、ふわふわした真っ白な雲みたいな人だったから」




ーーーーーー‥





『みぃちゃんって、わたあめに似てるよねぇ?』


『だね~♪ふわふわしてるもん。みぃ』






あーー‥






「先生」

「あ?」

「雲と、わたあめって似てる?」

「なんだ?お前」

「なんとなく」

「似てるよ。すげー似てんじゃん」





そっか、そっか。

見にきて‥くれてるんだね?



お母さん♪






「始まるよ、黒姫。行ってこい」



頭をポンと叩いた
紫藤先生。







キィィィーー‥





扉が開いてゆく‥。