片翼の天使

真っ白なワンピースに袖を通す。

秋風が肌に触れて、冷たい。


メイクも髪も完璧!

や、私がやったんじゃないけど‥。


シャーっとカーテンを開けてお披露目です。



「「「おぉーー」」」

「綺麗だよっみぃ」

「お人形さんみたぁい♪」

「お姫様だよなっ魅♪」

「えへへへ~♪」



片翼の形のタトゥシールは、左の鎖骨の下に2枚で対に貼って、両翼♪



「はぅあー‥怖い‥唄えるかな……」

「大丈夫だよっ」

「いつもの通り♪」

「俺らの総合芸術、見せてやろーぜ♪」



みんなのこの柔らかい笑顔‥これに何度癒やされたことか。




ーーーー‥





「おー♪すげー可愛いじゃん」

「僕らのお姫様っ!可愛いねっ魅」



ガラッと開いたドアから現れたのは、



「海斗!颯斗!!」



相変わらずそっくりで、相変わらず橙っぽい茶色の髪の毛。

ただ‥



「これ、衣装?」



2人が着ているのは、黒い前掛けみたいのに、灰色の裾のすぼまったズボン。

中国っぽい。



「ん?僕らには似合ってない?」

「いやいや、そうじゃなくって‥」

「俺らも、黒なんだよ」



あっさりと質問を見抜かれた私。

そう‥ですか。



「おー♪やっぱりここに居た!!」

「あれ?もしかして僕らを探してた?」

「いや、そうでもない。ここに居る気がしたんだよ」

「タク、あっちの支度は?」

「大丈夫だよ‥って‥うわぁ」



突然こっちを向いた拓弥さん。その紅っぽい瞳を見開いていた。



「魅ちゃん‥めちゃくちゃ綺麗だね。アイツも「「「タクっ」」」



おぉ珍しい光景だ。

拓弥さんが「悪ぃっ」って言いながら、たじろいでいる‥。


んー‥拓弥さんまで黒。これ、紋付き袴っていうのかな?

かっこいいんだけどね?


黒‥かぁ。



「あー‥集合は14時半に大聖堂の舞台袖。よろしくな♪」



そして綺麗な顔で笑いながら、いつもみたいに私の頭を撫でーー‥



「頑張ってね、魅ちゃん」



と耳元に優しい声を残していった。




ふっと時計を見ると
14時15分。



ドキドキドキドキドキドキドキド‥


なんか、緊張してきた。



人前で唄うのは、やっぱり怖い。


怖いよーー‥