片翼の天使

音楽祭当日の朝。



「「「行ってきます」」」



衣装が入った荷物を各々が持って、いつものように寅じぃに挨拶をする。



「はい、いってらっしゃいませ。良い舞台ができますよう、寅も祈っております」



寅じぃは、優雅な笑みを残しながら私たちに一礼し、運転席へと戻った。



「さぁ、みぃ!柚子!!気合い入れてくぞー♪」

「「おーーっ!!!」」



ふふ。朝からテンションが高い私たち。





ーーーーーーーー‥





校内に入ると、そこはもうお祭り騒ぎ。


私たちは学年選抜だからって、あんまりお手伝い出来なかったけど‥

我が1年A組は、わたあめ屋さんです♪



「3人とも、頑張ってね」

「んも~!A組から3人も学年選抜とかマジで嬉しいし」

「優花さま~!是非とも王者の座を~」

「五月女さんも頑張ってねっ!見に行くからね」

「黒姫ちゃんっ、これ、いっこ食べる?」



いっぱいいっぱい応援の言葉をもらった。



「えへ~♪わたあめもらった」

「みぃちゃんって、わたあめに似てるよねぇ?」

「ほゃ?」

「だね~♪ふわふわしてるもん。みぃ」



ーー‥それは、誉めコトバか?



「キャーーーーッ!!」



だんだんと近づいてくる、この、耳をつんざくような黄色い声。


もう慣れたとはいえ、1ヶ月以上のブランクがあると、さすがにやっぱりキツいっすーー‥



「みぃ、大丈夫?」

「ゔ‥ぅん‥」

「みぃちゃんには、耳栓が必要だねぇ」



案の定、A組の前でピークになる黄色いそれ。

姿を現したのは、金髪と、紅茶色の髪の毛。



「拓弥さん!」

「久しぶり、魅ちゃん」



そう言いながら、私の髪を梳くように撫でる拓弥さん。

綺麗すぎる顔で笑ってる。



「おぅ魅♪これやるよ」



そう言ってコウくんが私にくれたのは、片翼の形をしたシールが2枚。



「これ、なに?」

「それはタトゥシール。胸元が開いてんの気にしてんだろ?

鎖骨の下にそれ、貼っときなよ。気分的に違うんじゃん?」



おぉー♪



「五月女たちにはコレ。うちのクラスのは美味いよ♪」

「たこ焼きだ。柚子、受け取っといて」

「あ、う‥うん」



また真っ赤になる柚子。



ーー‥ゆずりんご?