「えーっ!?お前にそんな幼児趣味があったなんて‥なぁ?兄貴よ♪」
後ろから声がした。
その陽気な喋り方、振り返らなくても誰だかわかる。
「誰が幼児趣味だ?
コイツは“魅”に会いに来たんだと」
そう言いながら振り返ると、ニヤニヤと気持ち悪い笑みを浮かべた洸一朗が立っていた。
「やっと決めたか。“覚悟”を」
眩しく光る金髪。
そのデカい体がこちらへと歩いてくる。
『魅は、お前に向かって歩く“覚悟”決めたってさ』
「あぁ、決めたよ」
俺は、コウへと笑顔を見せる。
「いーぃ顔で笑えるようになったじゃねぇかよ。なぁ?」
「だね♪」
庭へと続くガラスの扉に寄りかかっている海斗と、
その横の窓に頬杖ついて笑ってる颯斗。
「もう1回、殴る必要はなかったみたいだね?」
いつの間にかちっこいの側に立っていた、爽やかな微笑を浮かべる拓弥。
真夏だった風は
だんだんと冷気を帯びてきた。
空を見なくなった
背の高い向日葵は、
未来への希望と
自分の生きた証を込めて、土産を置いてゆく。
気づかぬうちに
夏の第三角形は端っこに追いやられ、
新しい星座が顔を見せていた。
アイツの大好きな空は、
もっともっと
高く高く
蒼く
澄み渡るだろう。
季節はもう、
秋を迎えようとしていた。