静かな教室に、コウくんの高めの声が響きわたった。

私‥なんかしたかな?


顎に手を当てながら、コウくんは考え事をしてるみたい。



「‥コウ‥くん?」



恐る恐るお伺いを立ててみた。



「あっゴメン。あーいゃー、まさか君が黒姫魅だったなんて‥」

「え?」

「黒姫魅ってさ、もっとこー‥、高飛車かケバいイメージだったワケよ。俺ん中では」



あ‥やっぱそーだよね。


黒い姫に魅入られる


なんて、どんな美人かと思うよね。

うにゅ‥


わかってたけど、


わかってたけど‥



やっぱ面と向かって言われるのは傷つくな‥



「ごめん‥」

「え!謝ることないしっ。俺は納得したんだって」

「ふぇ?」

「ぷっ、おもしれぇな魅って。

俺は実際に、その真っ黒な髪の毛と真っ黒な瞳に魅入られたワケだし?」

「え?え!!えーー!!!」

「うわっ何!?」

「恐く‥ないの?」

「どっこが?すっげーキレイじゃん」



真っ黒で、真っ黒すぎて、不幸を呼ぶ黒猫だって。

親戚中で引き取りを拒否された私。


中学に上がる時から、お金だけ援助を受けて1人で暮らしてる私。



認めてもらえたようで‥嬉しかった。