片翼の天使



ガラにもなく、頬に水を流す俺。


1番びっくりしたのは俺だ。


拭っても拭ってもなぜか溢れてくるその水は、アイツに出会ってから初めて流れることを知る。



すると



「うにゅ~‥」



と、ヘンな声が聞こえた。
俺は手で覆っていた瞳をゆっくりと開く‥



「これ、貸したげるです」



そう言って一生懸命に俺の方へ体と腕を伸ばしているコイツ。


その小さな手には、大きな向日葵の絵が描いてある真っ白なハンカチが握られていた。



「使わないですか~?」



その大きな向日葵に瞳を奪われた俺。

また、ポロポロと流れてゆく水。



「ん‥しょ、んしょ。また出てるです」



ついにウッドテーブルに乗り上がったコイツは、そのハンカチで不器用に俺の顔を拭く。



「男の子なのに~」



そう言いながら俺の顔を拭うコイツは、

もうなんか‥母親?


あったかいような、くすぐったいような‥



「もう良いよ。もう大丈夫だ。ありがとな」



俺はそのハンカチをひっくり返して、コイツの頬に残る水の跡を拭いてやった。



「えへへ~♪」



と、また太陽みたいにキラキラ笑うコイツにつられて、俺も。



「ふっ‥はは」



笑顔になる。





雲が覆っていた

前の見えない

俺のココロ。



このちっこい太陽のお陰でーー‥


少し、晴れつつあるの‥かな。