片翼の天使



「みーお姉ちゃんはどこですか?」



俺は頭がうまく回らなくて言葉を出せずにいた。



「みーお姉ちゃんとはぁ、お祭りの時にまた遊ぼってお約束したんです~♪」



やっぱり太陽のようにキラキラ光るコイツに、俺は瞳を逸らしておでこをテーブルにつける。

冷たくて気持ちいい‥



「聞いてますか?」



頭をポンポンと撫でられる俺。

ちっこい手だなぁ……



「みーちゃんはですね、みーお姉ちゃんにお土産を持ってきました♪お母さんの得意料理です~♪」



コイツは、手に持っていたピンクの手提げ袋をテーブルの上に乗せ、ガサゴソし始めた。



「んーとねぇ‥」



「じゃーん♪」という効果音とともに現れたのはーー‥



「おっきいでしょーぅ♪」



「えっへん♪」って自慢げに言ってる顔が見えないんですけど?


だって、ありえないくらいにデカい“せんべい”が、コイツの顔を隠していたから。



「お前、それが母親の得意料理‥なのか?」



俺の耳が確かなら、“得意料理”って言ってた気がすんだけどーー‥



「そーですよ?みーちゃんのお母さんの得意料理は、おせんべです♪」



えーー‥?

得意料理がせんべいってどうなんだ?
ある意味、尊敬なんだが……



「お名前も書いてもらいました♪おにーちゃんには特別に見せてあげるねっ」



そう言って

その、顔を隠していたせんべいをくるっと回転させる。



「内緒だよぅ?これはねぇ、みーお姉ちゃんと、みーお姉ちゃんの大好きな人のお名前なんだっ♪」



コソコソキラキラと話すコイツ。



それを見た瞬間‥

俺の心臓は



『ドクンっ』と

大きく波打った。



このデカいせんべいの裏にはーー‥




『みーお姉ちゃん』

『そう』



俺の‥名前ーー‥