片翼の天使


「みーいるっ」



呼ばれた声の方向へ振り返ると、ニコニコキラキラした蒼いグレーの瞳が私を見ていた。



「フォルテくん!!来てくれたんだ♪」



すると、アロハっぽいシャツを着たおじさんが‥



「フォルテがどうしても見送りたいと言うもんですから」



と、フォルテくんの頭をポンポンと叩く。




ーー‥え゙?
もしかしてーー‥



「神父様!?」

「はい」



そう穏やかに微笑むお顔は、やっぱり神父様。

いやー。色んな意味で光ってマス‥。



「みいる」

「ん?」



あ‥またしゃがんじゃった。



ーーあれ?



ちゅーが来るかと思ったけど、フォルテくんは真剣な眼差しで私の瞳を見てる。



「俺の名前は“フォルテ”だ。日本の字では“強い”って書くんだって。ほんとか?」



あ‥



「うん、ほんとだよ」



パァァっと輝きが増す彼の瞳。



「俺、強くなるっ!みいるを護れるように強くなる!!だから‥」



なんかびっくりするような発言をスラスラ放ったと思ったら、急に口ごもるフォルテくん。



「えと‥みいる、耳かして」



私は、耳を傾ける。



『蒼と仲直り出来なかったら、俺がお嫁さんにしてやる』



顔を真っ赤にしながらそう言うフォルテくんが可愛くて、

ぎゅっと抱きしめ、ほっぺに“ちゅっ”ってした。



「みいるっ!!」

「その言葉、ありがたくいただいておきます♪」

「あ、みいるは?」

「ん?」

「日本の字では、なんて書くんだ?」



まだ顔が真っ赤なフォルテくんは、話題を変えるように聞いてきた。



「私はね、“魅力”って書くんだっ♪」

「みりょく‥魅力‥
んっ!ぴったりだな♪」



ピンポンパンポーン




「みぃ、もう行かなきゃ。では神父様、フォルテくん。また‥」

「ありがとうございました♪また会いましょうねぇ」

「では。神父様、フォルテくん、ありがとうございました。また会いに来ますね♪」

「はい。お3方ともお気をつけて」

「魅っ!」



私の名を呼びながら腕をクンっと引くフォルテくん。



「ほぇ?」





ちゅっ




……またやられた。




「じゃーな♪手紙とメール、忘れんなよ?」

「うんっ」