わぁ‥
綺麗な男の子だなぁ。
身長高い~
あのまま進んで来たら、ドアにゴンってするよなぁ。
あ、そしたら私の仲間だ。
ネクタイが赤だから、1年生!!私と同じね?
ん~‥今日はなんか、綺麗な男の子に出会う日‥なのかな?
そんなことをぐるぐる考えてた。
「今‥唄ってたのーー‥君?」
身長の割に高い声。
ってか!
声に出てたか私!!
わたわたしながら首を縦に動かすと、その人はパァァと嬉しそうに顔を崩して言った。
「もう唄わねぇのっ?」
「えと‥歌は嫌いなの」
そう言うと、「もったいねっ」って言いながら教室に入って来た。
あ、鴨居はやっぱくぐってたよ?
ふふっ。
「俺、金成恍一朗(カナリコウイチロウ)。コウって呼んで」
「コウ‥くん」
「ん。君の歌、キレーだったなぁ。また聞かせて!!」
「あのっ私‥歌は‥」
「あぁ、唄いたくなったらで良いよ」
その綺麗な顔をくしゃって人懐っこく崩しながら、私の頭を撫でていた。
「‥いる‥」
「ん?」
「黒姫魅。私の名前」
頭をくしゃくしゃされながら言ったから、下向きに俯いたままだ。
ーーーーーー‥
「黒姫魅っ!!」